【MOM’S TOUCH 】韓国最多1430店舗のバーガーチェーンが日本進出

公開日:2024.10.24

最終更新日:2024.10.24

※以下はビジネスチャンス2024年12月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

1号店はオープン1カ月強で売上1億円を達成

 韓国発祥の「MOM’S TOUCH」は、手作りの商品を手頃な価格で提供するバーガーチェーンだ。韓国ではマーケットリーダー的存在で、マクドナルドやケンタッキーなど大手ファストフードチェーンを抑えて同国最多の約1430店舗を展開している。また、2021年から海外出店に本腰を入れており、アメリカ・タイ・モンゴルに進出。そして今年4月、渋谷に日本1号店をオープンした。日本での成長戦略について、本国代表のキム·ドンジョン氏に話を聞いた。

MOM’S TOUCH (Mom’s Touch & Co.:韓国) キム·ドンジョン 社長(47)

Profile きむ・どんじょん
1977年ソウル生まれ、延世(ヨンセ)大学大学院修了。06年市場調査専門機関シノベイトコリア入社。韓国マクドナルドビジネスインサイトチーム長、サムスン電子無線事業部次長を経て、15年からKL&Partners副社長に就任。21年からはMOM’S TOUCH & CO.代表取締役も兼任し現在に至る。

 

 

 

 

コスパを徹底追及 手作り商品を低価格で提供

――渋谷店の立ち上がりはいかがでしたか。
キム オープン直後は1日あたり平均2500人が来店され、テーブルが約10回転するほど大盛況でした。そして、オープン後40日で累計来店者数は万人、売上高は1億円を達成しました。オープンから3カ月経った現在でも、1日の平均来客数は2250人と多くのお客様に来ていただいています。
――お客さんの来店動機について、どう分析されていますか。
キム コストパフォーマンスだと思います。私たちは、より良い商品を合理的な価格で提供するというbetter quality with affordable priceを掲げています。
 これを実現するため、当店ではすべての商品を手作りしています。バタリングやフライなどの工程を各店舗で行うことで、加工品では出せないサクサクの衣に仕上げています。また、ファストフードチェーンでは基本的に冷凍食材を使いますが、当店では冷蔵の状態で配送した原材料を使っています。その方が、パティに肉汁を閉じ込めることができるからです。こうしたプロセスを経ることで、美味しい商品が作れているのだと思います。
――手作りにこだわると手間がかかるため、価格も上がるのではないですか。
キム 当店では、パティ作りやフライ、パッキングといったキッチンの作業を分業化することで生産性を高め、ベルトコンベアーを導入することでスピーディーな商品提供を可能としました。一般的なファストフード店と変わらない人数でオペレーションできるため、手作りにこだわっても手頃な価格を実現できるのです。
 シグネチャーメニューの「サイバーガー」は単品で520円、ポテトとドリンクのセットで850円です。メニューは、バーガー・チキン・サイドで種類ありますが、平均価格で見たときに他社を超えないように意識しています。
――店内にはネオンサインやレシート写真機など韓国のトレンドアイテムが多数備わっています。やはり若いお客さんが多いのでしょうか。
キム 客層は女性が7割で、そのうち10〜20代が7割となっています。若い女性が圧倒的に多いですが、平日は会社員がランチを食べに来たり、週末は家族連れも多く見られます。また、外国人のご利用も多く、全体の20%を占めています。
――日本には有力なバーガーチェーンが多数存在しますが、このタイミングで進出した理由を教えてください。
キム 日本のバーガー市場は韓国の2.5〜3倍と大きく、世界的に有名なブランドは全て存在していると思います。競争が激しく、新生ブランドが生き残るには難しい市場だと認識していますが、当店は韓国市場で後発ブランドだったにもかかわらず、数十年間市場をリードしてきた大手グローバルブランドを抜いて店舗数1位になった実績があります。それは先ほど申し上げたとおり、良い商品を合理的な価格で提供し続けてきたからです。
 さらに近年は物価高の影響もあり、日本も韓国同様にコスパを重視する消費者が増えました。そこで当社は、日本の消費者が従来のファストフードチェーンでは体験できなかった、店内調理ならではのフレッシュで美味しいバーガーをアピールするため、日本進出を決めました。

渋谷公園通りに日本第1号店をオープン

日本での加盟事業を開始 年内にFC店をオープン予定

――日本に進出するにあたり、どのようなローカライゼーションを行いましたか。
キム 日本の消費者に合わせて商品を一部変更しています。たとえば、プルコギバーガーはパティの味付けを変更し、ソースも日本人が好む照り焼き風にしています。とても美味しくできたので、韓国に逆輸入して8月から販売することになりました。
 また、日本限定の商品として「ハニーガーリックサイバーガー」を販売しています。はちみつとニンニクの組み合わせが日本人の好みだと聞き、テスト販売してみたところ、非常に反応がよかったため定番化しました。韓国で甘いバーガーはあまり好まれませんが、日本では1番人気になるほど売れています。
 今はオペレーションを安定させるため、韓国にある約50種類のメニューの中から厳選して販売していますが、今後はリピーターを飽きさせないためにも1〜2カ月ペースで新商品をリリースしたいと考えています。
――今後はFCを活用した出店拡大も視野に入れているそうですね。
キム 展開方法は主に2トラックで考えています。1つ目は、マスターフランチャイジーを見つけて、その企業に展開してもらう方法です。ただ、マスターフランチャイジーとの提携がいつ頃になるかはまだ分かりません。そのため、2つ目のトラックを併行して進めます。それは、東京法人による加盟事業です。つまり、マスターフランチャイジーを探す傍らで、東京法人がFC本部となり出店拡大を行います。そして、マスターフランチャイジーが見つかったタイミングで東京法人を買収してもらいます。
 このような状況ですので、今後の具体的な出店計画についてはまだお話できません。しかし、2号店は今年中にFC店で出したいと考えています。
――今後の成長戦略を教えてください。
キム 外食で競争力となるのは結局、味と品質です。日本のQSR市場はグローバルブランドが多数参入しており、中でも渋谷は競争の激しいエリアとなっています。この激戦地で定着できるよう日本にマッチした味と品質、そして合理的な価格を共存させることで、最上の顧客満足を提供できるよう全力投球していきたいです。

 

韓国トレンドを抑えた内装

日本限定の「ハニーガーリックサイバーガー」

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