【エスエフジ―/夢玄社】「明光義塾」「RED」ブランド33教室運営
公開日:2024.10.12
最終更新日:2024.10.12
※以下はビジネスチャンス2024年10月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。
独自で保育園開設し教育ビジネスを深化
明光ネットワークジャパン(東京都新宿区)が展開している「明光義塾」「RED」ブランドを33教室運営しているエスエフジ―/夢玄社(栃木県足利市)。この2社を経営する七原耕一社長は、都内のシステム開発会社から独立し、1993年10月に加盟した老舗フランチャイジーだ。現在は、保育園や託児所なども運営し、地元で教育ビジネスを広く展開している。
Profile ななはら・こういち
1967年6月7日生まれ。栃木県足利市出身。大学卒業後東京都内のシステム会社を経て、1993年10月に「明光義塾」 FCに加盟。
4年間のサラリーマン生活経て独立 加盟10年後には目標の5教室実現
大学卒業後、東京で約4年間、システム開発会社でサラリーマン生活を送っていた七原耕一社長。もともと独立志向が強く、その間は資金を貯めるための手段と考えていたという。独立する際に、数ある職種から塾を選んだ理由は、「大学で教育学を専攻していたこともあり、教育ビジネスに興味を持っていた」(七原耕一社長)からだという。
塾運営を自ら行うか、FCに加盟するか迷った末に決めたのが明光ネットワークジャパンが展開する、個別指導をウリとした「明光義塾」だった。同塾も今でこそ全国1700か所以上で展開しているが、当時は500か所にも満たない規模。他にも全国でFC展開している塾はあったが、「他社と比べて、社長はじめ、担当者の方々より丁寧に説明していただき、誠実さが伝わってきたというのが一番でした。当時は集団で教える塾が多かった中、地方では珍しかった個別指導に魅力を感じたことも決め手の一つだった」(七原社長)。
「明光義塾」のFCに加盟したのは1993年10月。開業に関わる初期投資約1200万円は自己資金と借入で確保した。準備期間を経て翌年2月に、七原社長の地元である栃木県足利市の3階建てビル2階部分を賃借し、晴れて「明光義塾 足利中央教室」を開校させた。
「開業に合わせて、生徒募集のために20万枚ものチラシを配布しました。一般的には1万枚で1人入るといわれていましたから、なんとか20人は確保できるのではと考えていました。結果、最初の2カ月で25人の生徒が入塾し、当初から黒字化できました。その後1年目で50人にまでになりました」(七原社長)。
明光ネットワークジャパンは、当初からオーナーに対して多店舗化を推奨しており、七原社長も「とりあえずは5教室を目標にしていた」という。
「全国には目標となるオーナーさんもたくさんいましたので、そこに追いつきたい、という気概を持っていました。『明光義塾』の教室もどんどん開校する時代でもありましたから、その波にも乗れました」(七原社長)。
開校3年後に2教室目、その3年後に3教室目、2年後には4教室目と順調に教室を増やしていった。加盟年後には目標としていた5教室を実現。その間、2000年にはエスエフジ―として法人化したのだった。
明光ネットワークジャパン本部概要
明光ネットワークジャパンは、個別指導を標榜した「明光義塾」を中心に教育ビジネスを推進。1997年にはジャスダック上場(現スタンダード)を果たし、2023年8月期の業績は、売上高208億7100万円、営業利益10億6400万円。明光義塾1710教室のうち、 1984年にスタートさせたFCは現在、全国で1439教室、オーナー数392(法人218・個人174)。
2016年に同じエリアのFCを継承 埼玉・茨城・群馬まで拡大
中学生をターゲットにしている塾が多い中、七原社長は、他塾との差別化を図るため、高校生を増やそうとしてきたという。
「中学生向けの塾はレッドオーシャン。その一方で、高校生を教えられる個別指導塾は意外に少かった」(七原社長)。
ただ肝心の講師の確保が難しい。そのため、七原社長は、通常アルバイトが多い講師を社員として採用することとした。
「以前は当教室でも、全生徒のうち6割が中学生でしたが、今では高校生の比率が6割になっている教室もあります」(七原社長)。
その後もエスエフジ―として10教室まで拡大させた七原社長だったが、2016年に大きな転機が訪れた。同じ県内で教室を展開している夢玄社を引き継いでくれとの依頼があったのだ。同社の社長が病気のため、経営から身を引くというのが理由だった。
「エスエフジーよりも売上規模で倍ぐらいある会社を引き受けることになりましたので、当初はいろいろ大変でした。そのためエスエフジーのやり方を押し付けるのではなく、夢玄社の企業風土を尊重して、全く別の会社として進めていこうと考えた。現在でもこのやり方を維持している」(七原社長)。
現在では、地元栃木だけでなく、埼玉・茨城・群馬にもエリアを拡大している。夢玄社では2024年3月1日に、自立学習塾「RED 野木教室」を開校させた。
行政からの後押しを受け保育園の運営事業にも参入
明光ネットワークジャパンのFCで教育ビジネスを進めてきた七原社長だが、10年ほど前よりエスエフジー社として保育園の運営にも参入した。
「新たに『明光義塾』が開校できる余地がなくなってきたのと、幼児教育への関心が高まったからだった」(七原社長)。
当時は待機児童が非常に多く、地元でも社会問題化していた時期だった。行政の施策として小規模保育園設置を後押していたことも追い風となっていた。
その流れの中で、小規模保育園の認可を受け、栃木県佐野市で「はなな保育園」をスタートさせた。ただそれでも足りないということで、小規模保育園を4か所、3年前には規模の大きい本園を開設した。
エスエフジーは塾と保育園事業併
せて、売上高約5億円だが、今では保育園事業が売上高の約6割を占め、「明光義塾」運営を逆転している。七原社長は今後、教育ビジネスのす そ野を広げていきたいという。地元栃木では、待機児童問題も徐々に解消されていく一方で、発達支援施設の需要が高まっている。
「これまで保育園の運営を通じて、発達支援の必要性を非常に感じていた。そのため新たに発達支援施設の運営も行っていきたい」(七原社長)という。
少子化の流れに合わせて事業ポートフォリオを見直し
主力の「明光義塾」での開校は、 「いい場所があれば出店していく考え。既に展開している『RED』は、もう少し時間をかけながら軌道に乗せていきたい」(七原社長)。
30年以上にも及ぶ中で、教室のスクラップアンドビルドや、リニューアルなどで運営してきた「明光義塾」だが、コロナを境に塾運営は岐路に差し掛かっているという。
「コロナが落ち着いてきた一方、ここ2年は物価高の影響で、生徒数の減少と生徒1人当たりの売上高も減少し厳しい状況にあった。生徒数は約20%減少しました。ただ今年の入会は昨年と比較して20%増え回復傾向にはある。とはいえ、少子化や競合他社との競争など油断はできない状況は続く」(七原社長)。
今までであれば夏期講習など、同社が進めるプランを使っていたが躊躇されるようになった。一方で、これまでかかっていた折込チラシを中心とした広告宣伝費がネットにシフトしていることもあり、経費が抑えられ、利益はあまり減ってはいないという。
「2社合わせれば、利益面ではコロナ前と変わらないものの、夢玄社は利益が減少しており、今後テコ入れをしていく必要がある」(七原社長)。
七原社長は、新たにスタートさせる計画の発達支援施設事業に期待するとともに、事業ポートフォリオの見直しも図り、教育ビジネスでの成長戦略を描いている。
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