【ウェンディーズ・ファーストキッチン/後編】コラボ店拡大
公開日:2023.02.06
最終更新日:2023.02.06
※以下はビジネスチャンス2022 年10月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。
53店舗から全国300店舗体制を目指す
1969年にアメリカで誕生したウェンディーズは、1980年にダイエー資本で日本に進出したものの、2009年に撤退。2011年にドミノピザで知られるヒガ・インダストリーズと投資ファンドとの出資によって、ウェンディーズ・ジャパンとして再進出を果たした。2016年には、サントリーホールディングスが運営していたファーストキッチンもグループに加わり、現在の体制となった。同社の紫関 修社長は、ファーストキッチンの社長も兼任し、両社の成長戦略を描いている。
前編はこちら
ウェンディーズ・ジャパン/ファーストキッチン(東京都新宿区)
紫関 修社長(61)
ウェンディーズの再進出に際し、力を入れているのが、ファーストキッチンとのコラボレーション店舗だ。現在、単独店舗ではなく、「ウェンディーズ・ファーストキッチン」のダブルネーム店舗として53店舗。うちFC店舗は6店舗展開している。基本的に新店は全てコラボ店になるという。
和洋折衷メニューで独自ポジション築く
新規事業計画する企業の加盟希望が増加
――メニューの見直しも行っています。
紫関 子供向けにジュニアバーガーという商品も本格的に始めました。昨年の12月からは、「GOODPRICESET」というのを展開しています。セット価格で500円、550円、600円のプライスラインです。これはまさにマクドナルドを中心としたファストフードのランチ時間帯の平均単価に近い商品で、ここに真っ向から打って出たのがこの商品です。これも非常に上手くいっていまして、売上の底上げに貢献しています。もう一つお店に来ていただく理由を作るために、以前からやっていた漫画やアニメ、アイドルとのコラボレーションをこの2年は非常に強く打ち出しました。
――コラボをするとそのファンが店に来るようになる。
紫関 リピートに繋がっています。去年もアイドルとのコラボで大爆発して、1日の売り上げが200万円という店もありました。こういった施策を地道にやったことで、店舗によってはコロナ前の90%以上まで売上が回復しました。
店舗のDX化を推進
顔認証システムの導入も
――コロナ禍をきっかけに飲食店ではDX化が進んでいます。御社の取り組みは。
紫関 私が2016年に入社した時にまず行ったのが、POSの入れ替えです。お客様視点で何かできないか考え、お客様が注文をご自身で打って会計をする決済システムを導入しました。
――当時は人材不足が大きな問題となっていた。
紫関 人材を置き換えて製造部門を抑えるのは難しい。抑えるとすればレジ。これをお客様自身に打ってもらうことによってうまくいくのではと思いました。お客様も今まで打ったことがないので難色を示すのではないかと懸念がありましたが、今後も進むだろうと開発し導入をしました。
――それが結果的にコロナ禍で、人対人の接触の点でもうまくいった。
紫関 最近ですと顔認証にもトライしています。将来的にはOnetoOneマーケティングができるんじゃないかなと思っています。たとえば顔認証があれば、アレルギーがあってマヨネーズがダメな場合、「あなたは前回マヨネーズ抜きですけど、この商品でよろしいですか」ということが自動でできる。
コロナ禍を経て、攻めの出店に転じている同社は、新たに新形態の店舗を投入する。ハンバーガー市場はマクドナルド一強が続いているが、同社はボリューミーでアメリカらしいハンバーガーと、和テイストの組み合わせにより独自のポジションを目指していく。紫関社長によれば、中期的には300店舗を出店できるポテンシャルを秘めているという。
市場内のブルーオーシャン狙う
朝昼晩の売上平準化進める
――今後の出店エリアや出店形態は。
紫関 先日オープンした店舗は、マクドナルドの居抜き物件です。居抜きのメリットは、投資額を抑えることができます。出店としてはこれがベストですが、なかなか空き店舗はない。どんな形で安く出店できるのかを考えています。
――その1つが最近話題になっている移設可能な店舗ですね。
紫関 直営店でトレーラー型の店舗を神奈川県に1店舗出店する予定です。移動可能なトレーラーであれば、ちゃんとメンテナンスをすれば箱として10年以上持ち、箱自体に資産価値が出ます。店を作ると、閉める時に現状復帰で内装・外装にもう1回投資しなければいけない。でもトレーラーハウスは、閉店する時に移設ができるメリットがある。
――ファストフードのハンバーガーの市場で、中期的にどういう立ち位置を目指していますか。
紫関 ポテンシャルとして考えたら、300店は十分できると思います。もちろんマクドナルドという牙城を崩すのは難しいと思っています。では当社はどのポジショニングかというと、ボリューミーでアメリカらしいハンバーガー。これは東京、大阪などの大都市だと食べるチャンスがあるけれど、それ以外のところでは気軽に食べられません。グルメバーガーと言われるカテゴリーのものは1500円、2000円しますが、それに近いクオリティーで1000円以内で食べられる。このマーケットは、まだ十分開拓できると思います。
――和洋折衷のメニューも独自ポジションを築いています。
紫関 当社はハンバーガーだけで勝負しているのではなく、パスタもあるので女性も来られます。今は和のデザートにフォーカスしています。6月には榮太樓さんと組んで白玉クリームあんみつの商品を作りました。そういった少し上の世代の人たちに対しても、昔あった甘味処のようなマーケットを作り出せる力があるんじゃないかなと考えています。
――甘味処なんかできると、朝昼晩でアイドルタイムがなくなりますね。
紫関 我々はアイドルタイムではなく、ティータイムと呼んでいます。その時間帯を我々はこういったデザートで埋めていく。
――1日どの時間に行っても、それぞれの時間帯の売りの商品がある。
紫関 何かしらその時間帯に応じてあります。300円くらいのハンバーガーなどは、お昼を逃した2時台に小腹が減った時に食べられる。さらに我々が強いデザートもさらに強化し、ユニークな商品を用意していく。あとは本格的に季節毎のパスタを用意していく。全時間帯に主力商品があるところに当社の特色があります。
開業資金は約4000万円から
メガフランチャイジーの参加期待
――今後FC出店する場合の初期投資の条件、店舗の広さを教えてください。
紫関 ビルインタイプ坪モデルで、加盟金、研修費、設備・機器など全て含めて5380万円。フードコートタイプ坪モデルで、3920万円です。
――その場合の売上収支モデルは?
紫関 ビルインタイプで、月間売上1000万円の場合で、10%の利益になります。フードコートタイプで、月間売上700万円の場合、11%です。
――FCにはどういう企業の参加を考えていますか。
紫関 メガフランチャイジーで幾つかのブランドを展開されている企業さんへのアプローチを基本としています。鉄道系、バス会社さんなどにもアプローチしていきたい。事業の多角化をしていらっしゃるところでは、例えばコンビニやカー用品店をやられている方が外食もやりたいという方も増えています。
――ハンバーガー業界だとマクドナルドの一人勝ちで、そこに対抗軸が欲しいメガジーもいると思います。
紫関 都心でちょっといいハンバーガーを食べようと思ったら、もちろんウェンディーズもあるし、もっと行くと個人商店で2000円くらいの特色あるハンバーガーが食べられます。でも地方に行くと選択肢は限られてくる。そこにアメリカのボリューミーなハンバーガーを展開していく。東阪エリア以外にも、地方でドライブスルー店舗を展開していきたいと考えています。
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